Junpei Qawasaki

博報堂アイ・スタジオという会社でテクノロジーをベースに新規事業とかインタラクティブなものとかを色々とやっております

山の日なので LTE-M Button で簡易位置測位を試す

今日は山の日という事で。

普段、IoTで山の中の位置情報を活用するサービスをメインのお仕事としてやってるのですがtrektrack.jp
このたび、SORACOMさんの「LTE-M Button for Enterprise」が簡易位置が追加されたとの発表があったのでボタン2つほど購入して試してみました。

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うわさの白いボタン。

簡易測位の情報を確認するまでは簡単でソラコムコンソールから一通りできてしまいます。
先人や公式で分かりまとまったものが多くあるので、そっちを見ていただき、ここでは感想などを書きたいな、と。
参考①
SORACOM LTE-M Button for Enterpriseを使ってみた - Qiita
参考②
簡易位置測位機能提供開始! – SORACOM エンジニアブログ

ボタンを動かしてみる

設定を終えてポチポチとボタンを押していくと、こんな感じで各データの位置がプロットされます。
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下の表の部分が送信されてきた各データの詳細ですね。lat , lonが位置情報の所です。

簡易位置測位の精度

で、精度はどんなものなの?という所ですが、まず大前提としてソラコムさんがやっているのは「基地局を利用した簡易位置情報」です。
基地局を元に割り出してる感じで、衛星と更新する位置情報GNSSGPS)とは根本から違います。ので、精度はそれより低いです。
(※よく警察などが通話記録から割り出すみたいな話がありますが、あれは基地局+携帯に搭載
されたGPSの位置情報なので精度は高い)

が、簡易位置即位はハードにGPSモジュールを搭載する必要が無いというメリットがあります。
GPSチップはコストが高い&大きさ(厚さ)もそこそこ、屋内での測位は出来ないという点があり、色々用途によって分ければ良いのかなと。

参考③
SORACOM Air SIM で基地局を基にした位置情報測位をサポート開始しました – SORACOM エンジニアブログ
参考④
測位方法 | サービス・機能 | NTTドコモ


山岳地帯(TREK TRACK)との相性など

よく、「なぜサービスでLPWAを採用したのか、携帯電波が届くようになったらどうするのか」という事を聞かれます。
実際の所、携帯のアンテナは人の生活圏をカバーする事、を目的に建てられているのでスキー場などのリゾートエリアでは裏山でも入る事が多いです。
反面、カバー距離はさほど大きくないので、電波が届かない山もかなりあります。人の生活圏から離れてる山は入らない事が多いです。
世界が電波でフルカバーされる事はまだしばらくは無いと思っており、技術は使い分けなのかなと思います。

LTE-MはLTE回線を使う事が出来るので、専用のアンテナ(インフラ)構築コストがかからないのでサービスや施策がスタートしやすいです。SORACOMさんみたいなプラットフォームが充実しているものは作り手としては、とてもいい。
ボタンについても「押した時のみ通信」というのは通信コストや電力消費が最小限に押さえられ長期間電池交換不要で稼働できるし、電波圏内で必要な時だけ押して簡易的な位置情報も活用したいみたいな場合にはとても良いものだなーと思いました。
例えば、限界集落のバスなどの交通で云々するとか、普段は立ち入り難い山小屋からAmazonDashボタン(サービス終わりますが)みたいな。


山岳地帯などでLTE電波が無い場所ではLPWAを使い、測位データの精度がサービスのクオリティに関わるもの場合は簡易測位の誤差(数100m〜数km)は致命的となってしまうので、GNSSを使いましょうみたいな、結局はつくる人(アイデアを考える人)の知見に依存しちゃう所はありますね。

個人的にはLTE_M+簡易位置測位は把握さえしておけばL、色々応用がききそうだなーと思いました。
今回は細かい部分まで触る時間がなかったので、今度はLamdaにデータ送ったり、実際のTREK TRACKサーバにデータ連携したりしてみようかなと思います。


では。